AKANET5号

 慶長9年(1604)に開かれた中仙道(後の中山道)の

街道口にあたる巣鴨は、約400年もの歴史を持った豊島区

内では最も早くから栄えた町です。江戸六地蔵で有名な真性

寺の門前町として形成されたこともあって地域のあちこちに

神社仏閣が多く、中には江戸市中をほとんど焼きつくした振

り袖火事で有名な本妙寺(明治44年本郷から移転)、四谷

怪談のお岩さまの墓がある妙行寺(明治42年四谷から移転)

など曰く因縁付の社寺もあります。

 しかしなんと言っても巣鴨の名物は「とげぬき地蔵」でし

ょう。巣鴨駅からこの地蔵のある曹洞宗万頂山高岩寺までの

参道は、毎月4・14・24日の縁日にはいつも4−5万も

の人で賑わい、そして9月24日の大祭には15万人もの想

像を絶する人で埋め尽くされます。この通りの別名は「おば

あちゃんの原宿」。モンペ姿のおばあさんの線香商いもあれ

ば、豆餅、八つ目ウナギ屋から厚手のメリヤス下着(ババシ

ャツ)などお年寄り好みの商品がズラリ並んで活況を呈して

います。

 とげぬき地蔵は、体の悪いところに御影(お札)を貼れば

たちまち難病・奇病・所構わず病のトゲを抜いて下さるとい

う有り難いお地蔵様。もう一つ境内には病も悩みも洗い流し

て下さるという「洗い観音」もあってタワシ持参の悩み多き

人々で賑わっています。また境内には悩める「心のトゲ」を

抜いて差し上げようと、弁護士や福祉の専門家が担当する「

生活館相談部」も設けられています。

 このように、巣鴨は今なお庶民信仰が生き続ける街であり

懐かしい心なごむ街なのです。

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