免震ピット内部には可燃物がなく防火区画されていること から、防災評定は不要とされた。また、将来の免震装置の交 換に備えて機材等の搬入口を設置するとともに、ジャッキア ップ時の集中荷重対策も検討した。ピット内に設けられた設 備用配管には、積層ゴムの水平変形を吸収できる継手を設け ている(写@)。 中間階免震構造のため、1階のエレベータシャフトは2階 から上の上部構造と一体にして吊り下げる構造としているが 利用者の安全対策にはさまざまな工夫を行っている。その他 ピット内の配管類や外部階段も、上部構造の水平移動に追従 できるディテールとしている。 免震構造としたことにより上部構造はSRC構造からRC 構造となり、部材断面は各階同一となった。このため、現場 の作業性は格段に向上した。デザイン的にも構造体を素直に 表現した都市型共同住宅らしい外観とすることが可能となっ た。 構造設計 上部構造の構造形式は桁方向を純ラーメン構造、スパン方 向は耐震壁付きラーメン構造とした。下部構造の1階の構造 形式は両方向とも耐震壁付きラーメン構造とし、基礎はGL −22m以深の砂礫層を支持層とする杭基礎とした。 この建物に採用した免震装置は必要な復元力持性とエネル ギー吸収能力を兼ね備えた高減衰積層ゴムで、合計18基(φ 850,φ1000,φ1100)を各柱直下に配置した。ゴム層の層 厚は20p、2次形状係数は4.2〜5.6である(図4)。 上部構造の設計せん断力は2階レベルにてCo=0.15とし 分布形はレベル2(入力最大速度50p/s)応答値を上回る ように設定した。下部構造の設計せん断力は上部構造2階 |
レベルの設計反力を引き継ぎ、M2階部分の局部震度を0.5と 設定した。さらに、地下部分の水平震度を0.1として加算して 基礎設計せん断力としたこれらの設計せん断力に対して許容 応力度設計を行った。 地震応答解析は上部構造下部構造とも静的増分解析から復 元力特性を求め、これにより時刻歴応答解析を行い建物の耐 震安全性を確認した。耐震性の判定はレベル1(入力最大速 度25p/s)の地動に対しては建物は許容応力度以内にあり、 層間変形角は1/200以下、レベル2の地動に対しては部材の 一部で降状が生じても変形の集中はなく、層として安定して いて層間変形角は1/100以内を目標とした。 免震装置はレベル2の地動に対して、免震層の相対水平変 位は35p(γ=175%)以内とし、積層ゴムに引抜き力を生 じさせないようにした。 なお、ゴム面圧はφ1000で50〜88kgf/cu、φ1100で83〜91 kgf/cuであり、これまでの構造マンションのものに比べ余 裕のある設計とした。 非免震構造との比較 当初設計された非免震建物と今回の建物の応答解析を行っ た結果のうち、応答せん断力について図5に、応答加速度に ついて図6に比較して示す。応答加速度は1/5〜1/7に低減 され、家具等の転倒も起こり難くなっている。 おわりに この建物の計画地のような市街地では、地下に免震装置を 設け、建物まわりのドライエリアを設けることは建築可能面 積が減るために実現が難しい。その意味でも、1階部分を剛 な構造とするなど、建築計画と調整して中間免震を実現でき たことは意義深い。免震構造の今後の発展に寄与できること を期待する。 (うだがわ たつお、とみた あきお) |
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