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土地有効活用実例:フォレストフローラ

親族間の権利調整を経て事業化へ

周辺開発から取り残された好立地

建物南側全景 建物南側全景

町田駅周辺は、小田急線とJR 横浜線の利便性から、東京と横浜のベッドタウンとして若い世代に人気のある活気溢れた街である。この街は、小田急線町田駅 とJR 横浜線町田駅との位置関係から、これまで開発は東口に偏り、西口は開発から取り残された状態になっていた。
この建物の建つ敷地は、小田急線町田駅西口から徒歩5分程の、幹線道路沿いの南側にある。これまではオーナーの親族企業に賃貸され、木造平家で使用されていた。隣の街区には、児童公園に囲まれた形で市民ホールがあり、共同住宅の立地条件としては良好である。市民ホールの地続きには数年先、現在数カ所に分散されていて不便な町田市総合庁舎が建設される予定で、将来性の期待できる立地である。

後見人の発案で道路との間に共有地

エントランスホール エントランスホール

優れた立地条件と将来性を持った土地であるが、この敷地は特殊な権利形態となっていたので、これを整理することから本事業の企画業務は開始する必要があった。隣地はオーナーの実兄の所有地であるが、兄妹それぞれの所有地と幹線道路との間には二人の共有地が挟まっている。こうした形になっていたのには、深い理由があった。
オーナーの実家は、町田市では名のある旧家で資産家であった。残念なことに兄妹は幼くして両親を失い、その結果かなりの土地を相続した。後見人の発案で、開発も売却も一存では行えない現状の登記にされていたものである。
今回提案した事業計画は、リスクがほとんどないことが親族会議で理解され、次頁で詳述するように兄妹間で権利調整を行い事業化に進んだものである。

敷地の問題点をどのように解決したか
従前の土地利用状況
従前の土地利用状況
  1. オーナー所有地A、兄所有地Bと幹線道路の間に2人の共有地が挟まっている。
  2. A敷地とB敷地の境界線は直線でなく、A・Bの敷地はいずれも不整形である。
  3. A敷地東側は地目上水路であるが、現況は狭あい道路である。
建物北側全景

建物北側全景

従後の土地利用状況
従後の土地利用状況
  1. 共有地を敷地A、敷地Bの面積按分にて単有所有に変更する。
  2. A敷地とB敷地の境界線を、東・西側道路と平行にする。
  3. 東側狭あい道路の後退部分は、Aの新所有地の中から供出する。
夜景

夜景

快適性を追求する
エントランスホールの光壁

エントランスホールと、駐車場との境の壁面を僅かに曲面とし、床から天井までをガラスブロック積みの光壁面とした。こうすることで、空間的な広がりが得られた上に、昼間は駐車場を通して外部の光が柔らかく内部に注ぎ、気持ちの良いエントランスホールとすることに成功した。夜間は逆に内部の照明が駐車場の入り口一帯を照らし、運転者の気持ちを和ますことになる。

エレベーターホールと坪庭

エレベーターの待ち時間は、実際より遙かに長く感じるものである。その僅かな時間への設計上の配慮が、住む人への温かさ・思いやりとして伝わるのである。
エレベーターホールの突き当たりの壁面を引っ込めて、下部をガラス嵌め込みとして小さな小さな坪庭を設けた。夜間は照明を行うようにしてある。勤務から疲れて帰宅した入居者が、ホッと一息できる装置として好評である。

南側全景

南側全景

本格的な健康快適住宅
段落なしの浴室 高齢者にも優しい便所 住戸玄関から廊下を見る

急速に進行する高齢化社会の到来に備えて、室内・室外のバリアフリー化は必須条件である。この建物では、雨仕舞上やむを得ないヶ所と室内玄関入り口部分以外は、高齢者に優しい段差なしとしている。
また玄関入り口やWC・浴室等には、手摺りを設置した。また廊下には将来手摺りが取り付けられるよう、壁面に下地が用意されている。更に浴室とWC には、緊急呼び出し用のブザーを設置したり、スイッチプレートは高齢者や幼児にも使いやすいワイドプレートを使用している。
一方若い入居者のニーズにも合致するよう、洗面器はシャンプドレッサーを設置し、居室の収納スペースも十分確保するよう心掛けた。

入居者の健康を損なわない住環境を提供することは、21世紀の賃貸住宅を考える上で極めて重要なことである。この建物に使用する内装材は、有害成分を分泌しない環境材の使用に徹している。残念ながら我が国では「安全な健康快適住宅づくり」が定着していない。従って材料の種類も少なく、コストも若干割高であるが今後の普及によって解消されることを期待したい。
環境材の徹底した使用は、とりもなおさず将来この建物のスクラップアンドビルドの段階で、建設産業廃棄物の発生を抑制し、地球環境の保全に役立つこととなる。
更にライフサイクルコストの視点からも、価値のある投資となる筈で、今後も一貫して継続しつづける弊社の基本理念である。

建築概要

所在地 /東京都町田市森野1-7-19
建築主 /五十子 芳枝
敷地面積/794.39m²
建築面積/499.94m²
延床面積/3,614.87m²
階数 /SRC造11階、地下なし
企画・設計 /2000.2〜2000.12
工期 /2000.12〜2002.3
施工 /共立建設株式会社

完備した駐輪・駐車場
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