サンヨー堂 錦糸ビル


東京都墨田区錦糸 1989年

 

 大正末期から昭和初期にかけて、錦糸町は東京のアミューズメントセンターとして、浅草

と並んでにぎわった街であった。しかし、テレビが普及するにつれて映画産業が衰退し、錦

糸町は昔日の面影をとどめない街へと衰退してしまった。

 近年、東京のマイタウン構想によって、JRの広大な貨物ヤード跡地と隣接する民地を含

めた『錦糸町北口駅前再開発事業』がようやく具体化の動きとなった。

 再開発地域と道路一本隔てた場所にサンヨー堂の流通倉庫があったが、これの有効活用と

サンヨー堂のイメージアップを図るため、創業110周年記念事業としてビル化が計画され

た。

 本ビル完成後、一旦日本橋堀切町の旧本社ビル内の全機能を錦糸町に移転し、引き続き日

本橋ビルの建替えを行う。日本橋ビル完成後、本社機能のみを日本橋に戻し、両方のビルの

余剰床は一括賃貸するという一大決断であった。

 建物の外部デザインは、堅牢な経営理念のサンヨー堂らしさを表現すると同時に、再開発

が完了した時点での一体的な街づくりに貢献するよう配慮した。また、室内はフレキシブル

で明るい執務空間が確保されるよう、独特なコア廻りのプランを考慮した。 

 

所在地 東京都墨田区錦糸1−5−14
建築主 (株)サンヨー堂
工事施工者 (株)ナカノコーポレーション
主要用途 事務所
建築面積 710.74u
延床面積 3,379.39u
構造・階数 SRC造・地上6階/地下なし
建物竣工 1990年2月

 

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