AKANET3号

セントポールズプラザ

立教学院 事業部会館

 

 この建物は、学生や教職員を対象にした書籍・雑貨類等を

販売する学生会館で、戦後まもなく建てられた木造2階建て

の老朽化したものでした。既存建物の耐震診断を行ったとこ

ろ、関東大震災級の地震が発生した場合は倒壊の危険性が高

いことから、鉄筋コンクリート造3階建てに建替することが

決定され、その設計・工事監理が茜設計に委託されることと

なりました。

 立教大学の正門から本館に至る前庭一帯は、立教学院のキ

ャンパスの中で最もシンボリックなゾーンであり、東京都の

「都市美モデル地区」に指定されています。この事業部会館

の建つ敷地は、立教通りを挟んでシンボルゾーンとちょうど

向かい合う位置となり、食堂・時計台・アーチ・正門と1本

の軸線上にこの建物の入口があります。

 都市のアメニティ形成上重要な立地に建つものなので、次

の諸点に留意して設計は進められました。

  @快適な歩行空間と澱み空間の創出

  A既存樹木(ソメイヨシノ)の保存

  B身障者への心配りされた建物

  C視線によって表情を変える外装

  

 「人間優先のみちづくり」を目指し、10年越しで地元商

店街と学院が一致して推進してきた通称「立教通り」の歩道

整備も、今年度で三期工事のすべてが完成します。さらに学

院キャンパスの南側では、都道補助172号線が平成14年

完成を目指して精力的に用地買収が進められております。

 このように、まもなく立教大学周辺地区は「安全で美しい

環境と共生できる街」に生まれ変わります。

オーナーからのコメント

 立教大学・池袋キャンパスには、ツタの絡まる煉瓦造校舎

のほか、いわゆる新耐震基準制定前に建設された老朽化した

建物を数多く抱えているため地震あるいは火災に対する対策

に頭を悩ませてきた。

 阪神・淡路大震災以来、耐震に対する関心が高まっている

が、本学でも震災以前から耐震調査の準備が進められていた

 また、池袋キャンパスは地域の広域避難場所に指定されて

おり、豊島区不燃化促進街づくり協議会からも木造建物の建

替に対する要望が強く出されていた。

 このような状況下の中、池袋キャンパスの整備計画の一環

としてキャンパスに点在していた木造建物群を取り壊し、鉄

筋コンクリートの建物に順次建て替えられてきたが、その中

の一つが今回、茜設計に設計を依頼した事業会館である。

 木造で耐震補強が必要であった旧事業会館が鉄筋コンクリ

ート造3階建ての近代的な建物に生まれ変わり「セントポー

ルズプラザ」の愛称で学生に多く利用されている。

立教学院調査役  田沢 利明

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